台湾(たいわん、繁体字漢字:臺灣または台灣、中国語ピンイン:Táiwān、台湾語:Tâi-oân)は東アジア、太平洋の西岸に在る台湾島を中心とした地域。1945年以降は中華民国の統治下にあるが、1949年に成立した中華人民共和国も統治権を主張しており、両国政府間で問題となっている(詳細は台湾問題を参照)。
| 台湾 | ||
|---|---|---|
| 英語表記 | Taiwan | |
| 繁体字漢字表記 | 臺灣 | |
| 台湾における漢字表記 | 臺灣、台灣 | |
| 中国語ピンイン | Táiwān | |
| 台湾語 | Tâi-oân | |
| 片仮名転写 | タイワン | |
| 主要都市(直轄市) | 台北市、高雄市 | |
| 面積 | 35,980km² | |
| 実効統治国家 | 中華民国 | |
| 首都 | 台北市 | |
台湾地域は、1949年の中華人民共和国建国後に生じた地域範囲である。本来、「中国を統治する唯一の合法(正統)な国家」は中華民国のみであったが、中華人民共和国が成立したことにより、中国は「中国を統治する唯一の合法(正統)な国家」としての権利を主張する二つの政府が並立する事態となった。
その為に、世界各国は「正統な中国政府」の選択に迫られることとなったのだが、1971年に国際連合で中華人民共和国が「中国」の代表権を取得してからは多くの国が中華人民共和国を「正統な中国政府」として承認し、中華民国は国際的に「正統な中国政府」として承認されなくなった。
だが、中華人民共和国を「正統な中国政府」として承認した後も、中華民国との非公式な関係維持を望む国では中華民国の統治地域を中華人民共和国の統治地域とは別個の「地域」と判断して、「台湾」という地域名称で中華民国の政府を呼称し始めた。
その為に、広義の台湾の地域範囲は主に中華人民共和国を「正統な中国政府」として扱っている国々で使用されており、日本も同様である。ただし、それらの国々では、政府の「台湾という地域」としての扱いと、中華民国政府が事実上独立している現実との錯綜から、「台湾」を国名とした独立国家であると誤解することがしばしば生じている。
なお、1990年代以降の台湾では広義の台湾を「台湾」として捉える人が多くなり、現在では李登輝元総統(任期:1988年~2000年)を始めとする泛緑連盟の構成員・支持者達が、台湾正名運動を興している。(詳細は中華民国の国名を参照のこと)
台湾の歴史は、史前時代、オランダ植民統治時代、鄭氏政権時代、清朝統治時代、日本統治時代、南京国民政府統治時代、台湾国民政府統治時代、そして現在の台湾総統選挙時代に区分される。
今日の台湾地域における重要な政治的問題としては、台湾問題が挙げられる。
台湾問題とは、台湾地域の最終的な政治的地位およびに主権帰属をめぐる中華民国と中華人民共和国との問題である。1945年の第二次世界大戦終結後、中華民国・南京国民政府は、連合国軍の委託を受けて駐台湾日本軍の武装解除を行う為に台湾へ軍を進駐させ、1943年のカイロ会談における取り決めに従い、同年10月に台湾を正式な中華民国の領土に編入した。しかし、その後に国共内戦によって中華人民共和国が成立し、かつ中華民国政府が一旦崩壊した上で台湾国民政府として再始動してからは、両国間で「中国を代表する正統な国家」としての権利を巡る対立が生じるようになり(中華民国の歴史参照)、それと同時に台湾地域の政治的地位と主権帰属も対立の一要因となっていった。
国際的には、今日では「中国を代表する正統な国家」として中華人民共和国を承認する国が大勢を占めている中、中華民国は今尚「中国を代表する正統な国家」としての立場を放棄しておらず、両国の「中国再統一」の主導権を巡る駆け引きも相まって、台湾問題の具体的な解決の道筋はたたずにいる。更には、近年では、台湾と中国を統治することを前提とした現在の中華民国の国家体制から脱却し、台湾地域のみの統治を前提とした国家を創出する台湾独立運動(台独運動、または台独)も活発化しており、そのことが問題をより複雑化している。最も、台湾地域においては、この問題に関する様々な意見が存在しているものの、少なくとも台湾地域の主権帰属が中華人民共和国に属するものではないという点では世論の大勢が一致している。その為、中華民国の立法府たる立法院の議員は、主に「台湾の主権帰属は中華民国に属する」とする泛藍連盟派と、「台湾の主権帰属は中国の国家には属さない」とする泛緑連盟派(台独派)のいずれかに大別される。
最も、台湾の世論調査では、台独も統一も望んでおらず、現状維持によって実質的に中国から自立している状態を望む声が多い。その為、台湾の世論は基本的には現状での安定志向にあると言え、各党も世論を配慮しながら政治活動を行なっている。
かつての中華民国による行政区分は、台湾地域を2省(台湾省、福建省)、2直轄市(台北市、高雄市)に区分し、更に省内を5省轄市(基隆市、新竹市、台中市、嘉義市、台南市)、18縣に区分していた。だが、1996年に福建省が、1998年に台湾省がそれぞれ行政機能を「凍結」(事実上の廃止)させられた為、今日では省轄市と縣が直轄市に準ずる地位に格上げされて地方行政を担っている。
台湾地域は、台湾島とその周辺諸島(澎湖諸島・蘭嶼島など)、及びに金馬地区と東沙諸島・南沙諸島から構成されており、面積は約3万6,000km²と九州程度(日本の約10分の1)の大きさである。
台湾地域北東部は日本の琉球諸島の西方海上に位置しており、最も近い与那国島との距離は110km以下である。また、台湾地域西端の金馬地区は台湾海峡を隔てて中国と接しており、最南端の岬である鵞鑾鼻(がらんび、オーロァンピ)は、バシー海峡を隔ててフィリピンと接している。
台湾地域最大の島である台湾島は、南北の最長距離が約394km、東西の最長距離が約144kmでサツマイモのような形をしている。島の西部は平野、中央と東部は山地に大別されるが、島をほぼ南北に縦走する5つの山脈(中央山脈、玉山山脈、雪山山脈、阿里山山脈、海岸山脈)が島の総面積の半分近くを占めており、耕作可能地は島の約30%にすぎない。なお、台湾最高峰の山は玉山山脈の玉山(旧日本名:新高山、海抜3,952m)であり、富士山よりも高い。また、このほかの重要な地勢としては丘陵、台地、高台、盆地などが挙げられる。
なお、台湾はフィリピン海プレートとユーラシアプレートの交差部に位置するため、日本と同様に地震活動が活発な地域である。また日本と同じ火山帯に属し、温泉も豊富にある。
地方の主要都市としては、台北市の東北部に港湾都市である基隆市が、台湾島南西部に工業・港湾都市である高雄市(台湾第二の都市)がそれぞれあり、両都市の間に新竹市、台中市(台湾第三の都市)、嘉義市、台南市(台湾の古都にして第四の都市)などの主要都市が集中している。これらの主要都市は全て台湾島西部に位置しており、台湾中・東部の主要都市としては花蓮市と台東市がある。
台湾の平均降雨量は年間およそ2,515mmであるが、降雨量は季節、位置、標高によって大きく異なっている。台湾は台風の襲来が多く、毎年平均3~4個の台風に襲われている。台湾は台風で給水の大きな部分を賄っているが、同時に損壊、洪水、土砂流などの災害も発生している。また、台風以外にも、夏季には台湾語「サイッパホー」(普通は西北雨と表記、正しいのは夕暴雨)と呼ばれる猛烈な夕立が多い。
台鐵の他にも、台北市には捷運(MRT)と呼ばれる鉄道交通ネットワークが形成されつつあり、現在では高雄市でも建設中である。
なお、台北と高雄を結ぶ路線(縦貫線)では、日本の新幹線システムを導入した高速鉄道が新たに建設中であり、2006年10月の完成後には台北から高雄までの所要時間は、現在の自強号の最速列車が3時間59分かかるところを、87分に短縮される見通しである(この高速鉄道は、日本が海外へ輸出する初の新幹線システムである)。
かつては公営の「台湾汽車客運」(中国語の汽車は自動車の意味)が高速バス事業を担っていたが、2001年の民営化に伴い「国光汽車客運」に再編された。また、それと相まって、近年では高速バス事業の自由化が進み、複数の会社による競合の結果、二列シート・軽食・飲物のサービス付き・カーテン・トイレ完備などの豪華なバスが大都市間で24時間運行されるようになっている。この為に、民営バス会社は台湾の人々にとって大切な足になっているが、連休などでは慢性的な渋滞にしばしば巻き込まれている。
他にも、都市部では市内バスが発達しているが、車両が古かったり、バス停が危険だったりするので利用者は必ずしも多くはない。また、タクシーや自家用車の利用率が高いが、運転マナーが悪いので事故が多い。ちなみに日本人がレンタカーを借りることは国交との関係で認められていない。実際には国際免許証の提示により借りることはできなくはないが、非合法行為であるので止めておいたほうがよい。
台湾の航空会社としては、日本では成田空港や名古屋空港、福岡空港などに乗り入れているチャイナエアライン(China Airlines)が有名であるが、最近では成田空港や関西国際空港、新千歳空港などに乗り入れているエバー航空(長栄航空、Eva Airways)も日本に浸透してきている。これらの航空会社以外にも、台湾には遠東航空、復興航空、立栄航空や華信航空などがある。なお、これらの航空会社のいくつかはチャイナエアラインやエバー航空の子会社である。
国際空港としては、桃園(台北)中正国際空港、高雄国際空港、台中清泉崗国際空港があり、最近では、花蓮空港を国際空港に昇格させる計画もある。
ベトナム戦争の際、アメリカは戦略物資を台湾から調達し、そのため台湾経済は飛躍的に発展し、台湾経済はこの頃より日本からアメリカ指向にシフトする。
台湾はそこで得たドルを電子工業に投資し、やがてIT景気に乗って、マザーボードのシェア世界一、外貨準備高世界上位というほどの発展を遂げる。
しかし中国やインドの台頭によって、空洞化が進行し、IT産業も失速する中、台湾は次の投資先を求めて模索している段階である(2003年)。政府はバイオを重要視しているが、バイオがITほどの経済規模を見込めるのかどうか、疑う声も強い。
日本経済の下部組織として発達してきた台湾経済は、日本経済と互換性のある面が強い。即ち技術力、工業生産力を利用し、世界市場で優位に立てる製品を開発提供することによって、外貨を獲得する加工貿易が基本である。
しかし日本と異なる面も多い。 それは漢民族の伝統、米国の影響によるものと考えられるが、代表的なものは起業指向であろう。 台湾では有能な人ほど起業を志し、それが経済に活力と柔軟性を与えている。 個人主義的なのであるが、反面、社会道徳の弱さという弱点も持つ。
また華僑ネットワークに支えられた、全世界ネットを駆使した世界戦略も台湾独特の強みである。 アメリカや日本で注文を取り、中国やベトナムに製造させる仲介的戦略も、この華僑ネットを利用している。
台湾は日本と歴史的に関係が深く、地理的にも日本に近い上に親日派も多いことから、貿易関係などの経済的交流は強い。その為に、台北の台北国際金融センタービルは日本の熊谷組を中心としたJV(共同事業体)が施行している他、日本の新幹線の信号・車両技術を導入した台湾高速鉄道(台湾新幹線、2006年10月に開業予定)も台北~高雄間に建設中である。
かつての台湾は、マスコミなどの公共の場では標準中国語のみが使用されていたが、1990年代に入ると台湾政治の民主化を反映して、閩南語がマスコミなどで使用される機会が増してきた。今日では鉄道や空港の案内は標準中国語、閩南語、客家語、英語の4つで行われ、テレビ番組でもこれらの諸言語が花盛りである。なお、空港や大きなデパートでは日本語の案内もなされている。
注:台湾に固有な言語という意味から、台湾語は客家語、原住民諸語をも意味するのではないか、という指摘があり、最近では福建系住民の言語を台湾語と呼ばず、代わりにホーロー語(福佬語、河洛語)と呼称するケースが増えてきている。福佬とは福建系住民の出身地である福建南部をさす言葉、河洛とは黄河と洛水、即ち中原地方のことで、福建系住民はそこから南下したとの伝承を持つ。
なお閩は虫・蛇の意味で侮蔑的であることから、閩南語の表記は廃れつつある。ポリティカル・コレクトネス、多文化主義を参照。
音声言語の他、日本手話と比較的近い台湾手話を母語とする人たちがいる。
この他、英語の教育熱が高く、幼稚園時代から英語のみ使用する施設などに子供を預ける者も多い。アメリカへの留学者も多い。また、若者の間では日本ブームに乗り日本語の学習者も増えている。
台湾におけるいずれの文化においても顕著な現象として、伝統文化が色濃く残っている点が挙げられる。社会主義化に伴い中国では廃れていった漢民族の伝統民俗が今日まで数多く残存している他、ヤミ(タオ)族を始めとする各原住民でも民族独自の文化が保持・継承され続けており、離れ島としての台湾の文化的位置づけを現しているものといえる。
漢民族の間では、共通して家族が社会組織の重要な社会単位となっており、先祖崇拝などの伝統的な家族行事が今なお重要な役割を担っている。また、伝統的な二十四節気を基とした旧正月や、清明節、中秋節などの季節行事も毎年盛大におこなわれている。この他にも、漢民族には移民出身地ごとの伝統文化が存在しており、例えば福建系の伝統文化としては布袋劇(人形劇)や歌仔戯(台湾オペラ、グァーヒ)が挙げられる。また、外省系が台湾に持ち込んだ文化としては、中華民国・国民党政府のイデオロギー的影響が挙げられる。
外来文化としては日本とアメリカの影響が大きい。日本から受けた文化的影響は、古くは温泉、演歌、日本酒、おでんから新しくはカラオケ、Jポップ、漫画、アニメ、テレビゲームまであり、これらの日本文化が好きな若年台湾人は哈日族と呼ばれている。他にも古くから日本からのテレビ番組を多数放送しているため、日本人の俳優やコメディアンが広く知られている。また、アメリカの影響としては独自に英語のファーストネームを用いる慣習が挙げられ、ファーストネームと姓にて個人を表す人は俳優や歌手などを中心に珍しくはなく、一般の会社員でも欧米や日本との取引に従事する者の間でも行われる。このような具体例としては、テレサ・テン(Teresa + 鄧、中国語の芸名は鄧麗君)が挙げられる。
また、政治体制が中国と違う為、自由にメディアが報道出来、インターネットの規制もない。
ただし、仏教・道教・儒教の区分は大変あいまいで、相互に強く影響を受け合っていることから、各地にある廟では各宗教の神々が合祀されていることが珍しくない。その為に、漢民族の宗教生活は各宗教が混合されており、人々はそれぞれの状況に応じて参拝する神々を変えている。なお、台湾にも少数ながらキリスト教やイスラム教の信者も存在している他、原住民の間では今なお伝統的なアニミズム信仰が行なわれている。
宗教も文化と同様に、中国では廃れてしまった宗教儀式が今なお数多く残存している。 特に道教系の祭礼は大掛かりなものが多く、旧暦の3月23日に行なわれる媽祖の誕生祭(媽祖誕辰)や、1週間に渡って街を練り歩き、数千万円相当の木造船を焼却する5月10日の王船祭(焼王船、王爺を鎮める祭り)、旧暦7月15日の中元節や旧暦10月22日の青山王の誕生祭(青山王誕辰)などが毎年華やかに催される。また、占いや祈祷を行う「尪姨」(巫女)や「童乩」(タンキー、シャーマンの一種)も健在であり、媽祖の誕生祭を始めとする各種宗教儀礼に参加している。
葬儀や婚礼も大掛かりであり、特に葬儀のパレードは楽隊まで繰り出して華やかである。
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